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コメント
たくさんの方々に、ご感想、メッセージをいただきました。ありがとうございます。
2020年は、コロナの影響で上映会も開けず。せっかく上映していただいた映画祭にも参加できず、大変に残念な年でした。しかし、多くの映画祭がインターネットでの配信を積極的に行い、今まで自主制作の映画を見る事の無かった方々にも『乙姫二万年』を楽しんでいただけたことは幸運でした。2021年にかけて『乙姫二万年』は長期間のインターネット公開となります。この機会に、普段自主映画を観ない方、小さなお子さんにもこの作品を見ていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
このファンタスティックな夢幻回廊の土台は燃えないゴミかゴミみたいな何かから産み出されている…
まさにメタモルフォーゼの醍醐味が時代にとり残された武蔵野のアパートで密かに企てられていたのである。
熟成させるのに少々時間はかかるが、プロフェッサーのアタマのなかではつねにゼンマイ仕掛けのクリエーションが進行している!
いつのころからかヤボったい記号あつかいされてきた昭和特撮の四十八手が遥かとおくの未来で蘇る。
濃厚なダシ汁の波にのみ込まれたら最期!輪郭たもてなくなるまでトロトロに煮込まれても知らないぜ~
大西健児(8ミリ作家)
作家の家、かつロケ地、かつ作業場で完成したての作品を見せて頂く。めちゃくちゃ面白い。インナースペースとアウタースペースと時間とが三十数分に圧縮され重力崩壊を起こし、新たな星に生まれ直したような作品だった。
川口陽一( 映画-音響)
見知らぬ人の悪夢の世界に放り込まれたような浮遊感 これがなかなか消えずジワジワ効いてくるから始末が悪いので見た事を少し後悔している。見る前の自分に戻れるだろうか。
のり一(遊芸人)
俺もこのアパートに住みたいぜ!
栗原みえ
おもしろかったです 「なんじゃこれ」「どうなるんだろ?」で楽しく観れました。ハイブリッドな技法も好きです。
逆柱いみり(漫画家)
現れてくる「人や人じゃないもの」や、「物や物で括れないモノ」や、「時間やスパンのないどこか」は、本当に自由。なんだか変なところに行ってきちゃったなあ〜でもまた行ってきてもいいな。
香取薫(インド・スパイス料理研究家)
にいやなおゆきさんの新作「乙姫二万年」面白かった!木造モルタルの迷宮物件で繰り広げられる大四畳半スペクタクル。ムサビ界隈の底力を結集させた最新の猫目式ゲキメーション。加藤賢崇さんの万年青年ボイスとともに35分間トリップする「居心地のよい悪夢」で疲労回復しました(^^)/
清水浩之(映像制作、映画祭コーディネーター)
前作「人喰山」で墨絵風のモノクロームな映像による「幻想と狂気」の因果応報譚を描いたにいやなおゆきさん。 今作でも「幻想と狂気」を感じさせる幾つものエピソードの連なりが描かれるが、それは「人喰山」とはうって変わった心地よいユーモアに包まれている。 そして個々のエピソードの因果関係は薄く個々の物体のスケールや特性も混乱した、よりシュールレアリスティックな夢の世界だ。 いい意味でチープなけばけばしい色調(黒澤明監督の「どですかでん」を思い起こした)や、様々な素材をデジタル合成したにぎやかで不思議な映像、常識をずらした展開はいつまでも見ていたい誘惑にかられる。実際自分は続けて2回見た。 しかし、作者はちょっとシニカルな仕掛けを施している。 終盤近く、映画館から出た主人公が見る光景。そう、自分はこの作品を見終わって部屋から外に出た時、同じ光景が広がっていたらどうしようかとちょっと背筋が寒くなったのだ。 そういえば、劇中には黒枠で囲まれた実写映像がエフェクトによって変貌する短いカットが幾つか挟まれていた。 竜宮城で心地よい夢に浸っている間に外では2万年たっているかもしれないのだ!
わとそん(市井の一アニメファンです)
武蔵美でついに観た、新谷尚之新作「乙姫二万年」! 新谷宅を思わせるアパートが舞台なのに、表裏ひっくり返れば無限のワンダーランドが広がる、楽しい楽しい映画で… 久しぶりに会った新谷さんはますます宮崎駿化が進んでいたが、映画は高畑「かぐや姫の物語」を思わせる寂寥感が胸にドシンと来た。帰り道が一緒になった学生たちが乙姫に真剣に感激・興奮していたのが、微笑ましくてなりませんでした……。
常本琢招(映画監督)
アニメーション作家、にいやなおゆきさんの、「人喰山」に続く四年がかりの新作「乙姫二万年」。拝見しました。 これは……一体なんなんだ……と唖然としました。凄すぎて。見たことがないものが堂々と表現されてるから。 「乙姫二万年」にいやさんの絵と、作り物(幽霊船とかアパートとかロボットとか人類滅亡後の放送局とか)と、特撮と、長年撮り溜められた写真等々のゴッタ煮の合成によって作られてて、物質がゴロゴロとぶつかりあって出来上がってる感じ…。なんだけど、いや、なんて言えば分かりません! あ、鍋だ。
大畑創(映画監督)
夢と現実を浮遊する不安定で可変的な世界は、現実を写しとっているかのようでした。いくつかの風景への旅路から、必ずフィードバックし、主人公は元居た場所に帰ります。すでにディストピア-ユートピアに暮らす私たちが未来へ託せるものがあるのかは、未定に留め置かれたラストで多義的でした。
さまざまな素材やサイズ感、平面と立体、静止画と動画が多様に組み合わさり、物質性をともなったイメージは、ざらっとした手触りがあり見どころ満載で楽しませてくれます。まさに2.5次元アニメーションでした。
小さな日常のシークエンスが積み重なってラストに向かっていく構成も好きです。どのように絵コンテが作られたのか気になりました!
シアターカフェ 林
「乙姫二万年」 この作品に類した映像体験は初めてだったので、 最初は面くらったところもありました。 最初は、整音というのか、声と擬音などが耳元で 接近している感じに慣れるのにちょと時間かかりましたが、 その奇妙さが怖くも夢心地になってきたあたりが観る体験としては怖かった。 なんとも、翌日も尾を引く作品でした。(「人喰山」も) 「ビフテキ」というセリフが懐かしかった。 22分あたりからの展開に驚きました。 竜宮城の景色は大好きでした。 劇中の2万年後から来たひとの説明に「原発」という単語はなくても、 十分に伝わったかもしれないと思ったり、いや、あったほうが良いと 思ったりなんたりしました。
倉地久美夫(ミュージシャン)
自分が見ているものが映画だと分かっていても“生きている限り見る筈のない光景”を見てしまっている。そんなある種の背徳感と超越感を感じさせてくれる映画である。 この映画の前ではホドロフスキーやデビットリンチの映画ですら整然とした作品に見える。この映画はまるで注射針で打ち込まれたかのように意識と肉体にダイレクトに入ってくるが頭では全く理解出来ない。その理解のし難さこそが宇宙と自己の関係性の理解のし難さであり、それにより極楽なのか涅槃なのかそのような非常に明るい場所へと連れて行ってくれる超越世界遊覧船のような映画なのである。 見終わったら脳みそから煙が出ていた。
中川究矢(映像作家)
「このアパートに引っ越してから変な夢ばかり見る」そう言って悪夢から目覚めた主人公は、夢なのか、この世界での現実なのか、不思議な日常を送る。変なアパートは何度も突然海に漂い、部屋中に置かれている主人公の描いた絵は、アパートの魔力を高めるかのように夜中に輝き、動き出す。一つのシーン、一つのカットにあるエピソードが溢れかえっていて、洪水をのように私に押し寄せてきて、圧倒されているうちに世界は大変なことになって終わる。にいやさんの作品はどれもそうだが、ギョッとする瞬間と心をグッとつかまれる瞬間が同時に起こって、怖いような楽しいような気持ちになる。今回もその振れ幅は大きい。凄まじい作品で、言葉ではとてもうまく言えないので、何としてでも観てほしいです。
磯谷渚(映画監督)